私と近沢レース店 Vol.011「私にとって『いかめし』は家族のような存在です」——元祖森名物「いかめし阿部商店」三代目 今井麻椰様
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- 2024.08.06.
みなさま、こんにちは。オンラインショップスタッフのひとみです。
前回公開いたしましたお客様インタビューでは、多くのご反響を頂戴し、ありがとうございました。まだご覧になっていらっしゃらない方は、宜しければご覧くださいませ。
本日は、近沢レース店をご愛顧いただいております今井麻椰さまとご縁があり、貴重なお時間を頂戴しインタビューさせていただきました。
北海道の元祖森名物「いかめし阿部商店」の三代目を継ぎ、家業のかたわら、バスケットボールBリーグのレポーター等でも幅広く活動中。ご活躍されているその経歴や、エピソードなど伺ってまいりましたのでぜひご覧くださいませ。
——いつもご愛顧いただきまして、誠にありがとうございます。改めまして、自己紹介をお願いいたします。
はじめまして。今井麻椰(いまい まや)と申します。まわりからは「社長とアナウンサーの二刀流」などと表現していただくこともありますが、いまも絶賛奮闘中です(笑)
二代目である父や、職人さんたちに支えられながら、若い世代の方々にも「いかめし」を知っていただくきっかけとなればと試行錯誤しています。
その中で最近ようやく、「いかめし」と「アナウンサー」のそれぞれの仕事がリンクして、良い影響を与え合っているのを実感できるようになってきました。
——アナウンサーと、いかめし三代目社長。異色の経歴をお持ちでいらっしゃいますが、はじめに志されたのはどちらでしょう?
はじめに志したのはアナウンサーの道でした。それもまた、「いかめし」がきっかけなのですが、大学卒業後の短期留学中にアメリカでの催事のサポートを頼まれたのです。
「いかめし」は外国の方に馴染みのある食べ物ではないので、はじめは誰にも相手にされず。そこで興味を持ってもらえるようなプレゼンを考え、「テリヤキソースに似ているよ」などと表現したりしているうちに、気付けば催事終了のころには人気商品として認知してもらえるようになりました。
そのことがきっかけで、人に伝えることの楽しさを体験した私は、帰国後に学生たちに交じってアナウンススクールに通うことにしました。
その後、私自身がバスケットをしていた経験も相まって、バスケットボールBリーグ初の応援番組にMCとして就任させていただけることになり、ありがたいことに、気づけばもう8年もバスケットボールのレポーターを続けさせていただいています。
——アナウンサーとしてのキャリアが順風満帆な時に、「三代目」を継ぐきっかけは何だったのでしょうか。
父も70代に入り、いかめしを作ってくださる職人さんたちも60~70代が中心で、家業も高齢化が進んでいました。父も娘の私に継がせるつもりはなかったんですよね。
会社を丸々全て手放す話しも現実味を帯びてきたとき、いざ「いかめし阿部商店」が自分の側からなくなるかもしれないと思うと、途端に家族を失うような気持ちになってしまって。「私が世界でいちばん、いかめしが好き」という自負もありましたし、「手放してしまうくらいなら、どうか私にやらせて欲しい!」と代表になることを決意しました。
けれど世の中はコロナ禍の真っ只中。百貨店の催事での実演販売がメインの「いかめし阿部商店」にとっては相当な打撃でした。売り上げも、スキルもゼロで辛かったですね。
近沢レース店さんは兄弟で支え合える環境でいらっしゃるのは羨ましいです。私は普段は親子仲も良好なのですが、一緒に仕事をするようになってからはじめて反抗期がやってきたように感じます(笑)
——お忙しい中で、全く異なるお仕事の両立をしておられるなんて、素晴らしいです。
経営について勉強中の身ですので、実はまだ家業の仕事を楽しめるほどには至っていないのですけれどね。
私には座右の銘がふたつあって、幼いころから家族に言われてきたのが、“笑う門には福来る”です。どんなに辛いことがあっても、鏡の前で笑うようにしたり、レポーターの仕事で笑顔でいるうちに、気の持ちようも変わってくるんですよね。
そしてもうひとつは、“Never too late”。何かをするのに、遅すぎることはないと思っていますので、「三代目」を継ぐ決心が出来たのも、この言葉のおかげだと思っています。アナウンサーとして異業種の方々と出会うことで学ぶことがたくさんありますし、実現したいアイディアを実はたくさんストックしています。
アイディアの実現にはまだ少しかかりそうですが、いまは「いかめし」の催事にバスケットファンのみなさまが足を運んでくださったり、Bリーグ会場で「いかめし」の販売をさせていただくようにもなりました。
——今井さまと、ハンカチのエピソードを教えてください。
私は「いかめし」販売の際には、いつも黒いTシャツとバンダナ、赤いエプロンと決めているのですが、エプロンのポケットにはハンカチを忍ばせています。
催事の時はデパートのオープン前から仕込みに入り、閉店後の片付けが終わるまでほぼ立ちっぱなしなので、正直身体がボロボロになるのですが、ふと手を洗う時にお気に入りのハンカチが入っていると癒されます。
私のまわりでも、近沢レース店のハンカチを持っている友人や、職人さんたちがたくさんいますので、お揃いになったり、共通の話題が出来て楽しいですね。レースはいろいろな可能性があって、見ていて面白いなと思っています。
「いかめし」の時は面白かったり、癒されるハンカチを。レポーターの時は、バスケ日本代表のイメージカラーである赤いハンカチを持つことが多いです。
——さいごに、今井さまの今後の目標を教えてください。
いまは鉄道や駅弁好きのファンの方々や、百貨店の催事に足を運んでくださるお客さまに支えていただいていますが、催事会場で若い世代をお見かけする機会はなかなかありません。
約80年口伝で受け継がれたこの味を、ぜひ出来立てで食べていただきたくて、実演販売にこだわっていますが、若者のデパート離れを目の当たりにすると、「いかめし」をご存じない世代が増えていることへの危機感も感じています。
三代目の私に出来ることは、「いかめし阿部商店」をもっと知っていただくこと。そのために、アナウンサー業で培った伝える力で、一人でも多くの「いかめしファン」を増やしていけたらと思っています。
「いかめし」を知るきっかけは、どんな入り口でも良いと思っていて、さいごに「いかめしを食べてみたいな」と思っていただけたら、こんなに嬉しいことはありません。
近沢レース店さん、一緒に「いかめしハンカチ」作りませんか?(笑)
——イカとお弁当箱、レースにしたら面白そうですね(笑)
どうもありがとうございました。
これからも、ますますのご活躍を陰ながら応援しております。
プロフィール
今井 麻椰(いまい まや)
東京出身。東洋英和女学院高等部卒業。
慶應義塾大学卒業。
ブリティッシュコロンビア工科大学短期留学。
2015年 BSフジで学生キャスターを経験。
2016年 初のBリーグ応援番組アシスタントMCに就任。
2020年 元祖 森名物「いかめし阿部商店」三代目に就任。
先代からの「現場主義」を貫きつつ、リポーターやMCでも活躍。独自のPR活動に励む一方、オンラインでの発売に踏み切るなど、新たな試みも。変わらぬ伝統の味を守りつつ、「令和の時代」の三代目にしか出来ない唯一無二の挑戦。