私と近沢レース店 Vol.010「私にとっては、お守りのような存在です」——ブロードウェイ『WICKED』ステージマネージャー 横尾沙織様

みなさま、こんにちは。オンラインショップスタッフのひとみです。

前回公開いたしましたお客様インタビューでは、多くのご反響を頂戴し、ありがとうございました。まだご覧になっていらっしゃらない方は、宜しければご覧くださいませ。

本日は、近沢レース店をご愛顧いただいております横尾沙織さまとご縁があり、貴重なお時間を頂戴しインタビューさせていただきました。

ブロードウェイでステージマネージャーとしてご活躍されているその経歴や、ハンカチのエピソードなど伺ってまいりましたのでぜひご覧くださいませ。

横尾沙織

——いつもご愛顧いただきまして、誠にありがとうございます。改めまして、自己紹介をお願いいたします。

はじめまして。横尾 沙織(よこお さおり)と申します。いまはブロードウェイで舞台『WICKED(ウィキッド)』のステージマネージャーをしております。

ニューヨークに在住する私にお話をいただけるだなんて驚きと嬉しさでいっぱいです。光栄な機会をどうもありがとうございます。

——ステージマネージャーになられたきっかけを教えてください。

私は幼少期のころから音楽や舞台など、劇場という非日常の空間が大好きでした。父がよくクラッシックのコンサートに連れて行ってくれたことも影響していると思います。

中学・高校時代には、ミュージカル公演を活動とする「音楽部」に所属し、台本や衣装、照明、大道具…それぞれ役割をもって舞台を演出する楽しさとやりがいを学びました。上下関係はもちろんのこと、信頼関係を学べたのも部活動のおかげですね。

学生時代にニューヨークで観劇した『WICKED(ウィキッド)』が忘れられず、私たちの卒業公演の演目に提案したのも『WICKED(ウィキッド)』です。部員が賛同してくれたおかげで、私達が台本や歌詞の翻訳を手掛けた、青春そのもの。

その後、このまま音楽や舞台に携わりたいと考えた時に、調べてみると日本の大学ではあまりに選択肢が少ないと感じ、オハイオ州にある大学への進学を決めました。夢を抱いて、渡米してから10年経ったいま。文化祭で携わった『WICKED(ウィキッド)』に、ブロードウェイで帰ってこれただなんて、本当に夢のようです。

横尾さん
ブロードウェイ『WICKED(ウィキッド)』のステージ

——ステージマネージャーとは、具体的にはどのようなお仕事なのでしょうか。

日本語でステージマネジャーを直訳すると舞台監督になりますが、日本の舞台監督の方々は割とテクニカルな仕事のような印象を受けますよね。

もちろん、私たちもテクニカルな事に詳しいですが、アメリカでの業務は多岐に渡ります。小さな大学でいろいろなことを経験出来たことも私の糧になっていて、何でも屋さん。

その中でも、キャストの管理はとにかくコミュニケーション能力が問われる仕事で、人に関わることが好きな私にとっては、天職だと思っています。

横尾さん
「スタッフ一人一人との信頼関係を大切にしています」

約130名のキャストやクルーたちと関わるのですが、そのときは、校長先生や、時には母親のような気持で接することもあります。あの大舞台でパワーを発揮するためには、小さなことが彼らの心配事にも繋がるので、私が声をかけることによって心身ともに支えてあげられたらと思いながら接しています。

毎日、毎日、寝ても覚めても『WICKED(ウィキッド)』のことを考えています。同じ現場で、同じ演目の繰り返しですが、毎日何かしらのハプニングもあって、それもまた楽しい(笑)!上演20周年を迎えた、世界中から愛されるこの演目に携われることが本当に光栄で、飽きることがありません。これからもずっとこの場所に居られるように、努力を続けたいと思っています。

——横尾さまとハンカチのエピソードを教えてください。

私の主人はアメリカ人なのですが、「日本人はなんでそんなにハンカチが好きなの?」と聞かれたことがあります。

日本に住んでいた時は、引き出しいっぱいにハンカチが入っていることが当たり前だったのですが、こちらではあまり素敵なハンカチにめぐりあえず…。日本から持ってきた選りすぐりの数枚しか持っていないつもりだったのに、彼にはたくさんに見えたのだと可笑しかったです(笑)

こちらで生活していると、私は日本人だと思われないことの方が多いのですが、「ハンカチを持っている=日本人である」というアイデンティティに感じられて、より一層ハンカチを持つことを大切にするようになりました。

限られた数枚のハンカチを、洗濯してはまた使い、大事に大事にすることも気に入っています。

横尾さん
「鬼のハンカチを持っているのは、ニューヨークで私だけかも(笑)」
横尾さま私物「シーズンタオルハンカチ/鬼に金棒」・「シーズンタオルハンカチ/ユニコーン」

——横尾さまと近沢レース店とのエピソードを教えてください。

いまは海外に在住しているため、自分で購入することは出来ないのですが、いろいろなご縁でニューヨークの私のもとに届くんですよね(笑)

昨年発売された「ポップコーン」も、舞台の仕事に携わる私へと、母の親友が母に託してくれました。

また、音楽部の後輩がはるばる舞台を観に来てくれた際に、お土産にと近沢レース店が母校とコラボしたハンカチを届けてくれました。校章をモチーフとしたハンカチだったのですが、私がこの仕事をするきっかけになったいろいろな想いが蘇るようで、お守りのように大切にしています。

写真
横尾さまご友人さまと、母校「東洋英和女学院中学部・高等部」のコラボハンカチ

——さいごに、横尾さまにとってハンカチとはどのようなアイテムでしょうか。

仕事場にはいつもハンカチを持っていくので、やはり私にとっては「お守り」のような存在です。そしてハンカチを見ると、仕事を楽しんでいる同世代の友人たちを思い出します。

少し疲れた時にハンカチを見ると、その友人たちからのパワーが届くようで、元気をもらえる気持ちになるのです。日常において、そういったアイテムはなかなかないので、特別感がありますよね。

ハンカチは手を拭くだけでなく、身近にあると支えてくれるような、心強い存在です。

写真
横尾さま私物:左から「バニラ」・「朝食」・「鬼に金棒」・「桜便り」

——どうもありがとうございました。横尾さまにとっての、大切なアイテムになれていることが大変嬉しく、光栄な気持ちでいっぱいでございます。

これからも、ますますのご活躍を陰ながら応援しております。

写真

プロフィール

プロフィール

横尾 沙織(よこお さおり)

東京出身。東洋英和女学院高等部卒業。
米国俳優協会 (Actor’s Equity Association) 加盟。

オハイオ・ノーザン大学(シアター・プロダクション専攻、アーツ・アドミニストレーション副専攻)卒業後ニューヨークに拠点を移す。

ニューヨークではブロードウェー作品を中心に活躍。
『インヘリタンス1&2』、『ハリー・ポッターと呪いの子1&2』、『プラダを着た悪魔』や、『オン・ユア・フィート』、『ダーティ・ダンシング』、『42ndストリート』、『ブリング・イット・オン』などの全米ツアー公演にステージ・マネージャーやカンパニー・マネージメントの役職で参加。

ブリトニー・スピアーズの音楽を使用した新作ミュージカル『ワンス・アポン・ア・ワン・モア・タイム』のリハーサルと『インヘリタンス1&2』の公演期間中にブロードウェイシャットダウンを経験した。

現在、『ウィキッド(Wicked)』のステージマネージャーとして活躍している。