「なりたいわたしは私が作る」。バレエ業界のパイオニアブランド「stina」さまへ、近沢レース店とのコラボについてインタビュー
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- 2024.12.06.
今年2024年に、「セルフプロデュース」をコンセプトにバレエ業界に関わる商品の販売を行っている「stina」さまと、近沢レース店のレースを使用したコラボ商品の開発を行いました。
ピンクや白の淡く可愛らしいカラーを使用した商品は、stinaさまのこだわりが多く込められています。
今回はstinaさまの代表・久保田 小百合さまにブランドに込められている思いや、コラボ商品へのこだわりをお伺いしました。
商品開発のお話しや、近沢レース店との出会いなどより商品の魅力を感じられるエピソードも掲載しています。ぜひ最後までご覧ください。
——stinaさまについて教えてください。
私が現役バレリーナとして、初めて立ち上げたブランドが「stina」になります。
元々私はプロのバレリーナとして20年ほど活動しておりました。
その中で、東日本大震災をきっかけに、舞台上で踊ること以外でバレエを通して社会貢献がしたいと考えたのです。
stinaは今まで国内ブランドにはなかった、柄物のレオタードを初めて取り扱ったパイオニアブランドとして発信を行なっています。
——ブランドコンセプトは「セルフプロデュース」だと伺っているのですが、なぜそのコンセプトにしたのですか?
ブランドのコンセプトは「なりたいわたしは、私が作る」というところで、セミオーダーから始まりました。
ブランドを立ち上げた当初は私も現役で踊っていたのですが、私は童顔に見られがちで、若い役を任されることが多々ありました。
自分の内面と外見にギャップがあり、本当はもっと大人っぽく見せたい、重みのある大人の役を演じたいという思いがありました。
私たちバレエダンサーは、リハーサルや先生に見せるレッスンで、自身の役作りやイメージをセルフプロデュースしていきます。だからこそ、自分をプロデュースしていかなくてはいけない、と思ったことがコンセプトのセルフプロデュースにつながっていますね。
まずは、自分自身が最初の顧客として、柄やテキスタイルをカスタマイズできるレオタードの商品開発を行いました。
実は当時のレオタードは黒いものばかりだったのですが、明るく可愛らしいチューリップ柄のレオタードを販売したことで、一気にお客さまへ認知していただくきっかけとなりました。
——stinaさまの立ち上げの経緯についても詳しく教えてください。
まず、私は高校卒業後にロシア国立ボリショイバレエ学校に2年間留学をいたしました。
その後、東京にある公益財団法人スターダンサーズ・バレエ団に所属し、プロのバレリーナとして活動しておりました。
バレリーナとしての寿命は大変短いので、30歳を手前にセカンドキャリアについて考える方々は多くいらっしゃいます。私自身も、今後自分がどう生きていこうかと考えていたタイミングで、東日本大震災が起こったのです。
実は震災の前に南三陸などの東北地方にはバレエ公演で訪れたことがありました。 なので、震災の後、泊まったホテルや訪れた場所が全て津波でなくなってしまったことを知り、本当に大きな衝撃を受けました。
改めて、自分はどうやって生きていきたいのか、考えたことで、バレエダンサーとしてだけではなく、バレエ業界に関わっていきたいと思ったことがブランドを立ち上げたきっかけでしたね。
——ブランドを立ち上げられた当時、 お客さまやバレエの業界の方の反応はいかがでしたか?
これまで現役バレリーナとして活動しつつ、会社を起業したり、ブランドを立ち上げた人はいなかったので、業界としては衝撃だったと思います。
私が所属していたバレエ団の皆さんや先生にも応援をいただいていたので、最初はバレエ団のメンバーのために作っていました。
バレエ団にいるメンバーの声が直接聞こえてきますので、本当に欲しいもの、必要なものを考えながら、とてもリアルなものづくりができていましたね。
私自身も当時は舞台に立っていたので、stinaを通して自分自身のプロデュースも行っていました。
——商品へのこだわりや込められている思いを教えてください。
大人可愛いというのがテーマではありますが、常に上品であることも意識しています。
テーマや柄そのものが先行しがちですが、着ていて美しく見えるという部分にも焦点を当てています。
バレリーナは体が命なので着心地はもちろん、スタイルアップして見えるためにはかなりこだわって商品制作をしています。
サンプルを作る時は、後1ミリ、2ミリ、カットしてください、とお願いすることもありますね。
——久保田さまがブランドの中で、特にお気に入りの商品はありますか?
基本的に私が商品を作っているので、 全部おすすめです。
ですが、商品の評価をされるのはお客さまだと思っているので、stinaの商品の中で特にお客さまが気に入ってくださるものが1番の商品です。私はどの商品に対しても気持ちは同じです。
ブランドの立ち上げから13年が経ちましたが、本当に一つひとつ愛情を込めていますね。
最初にものづくりをして世に出した時は、我が子が旅立っていくかのようにお客さまの元へ届いていくのが本当に嬉しかったので、その感覚は何年経っても忘れずにいたいと思っています。
——ブランド設立当時と現在で変わったことはありますか?
自分自身のセルフプロデュースから、みなさんにも提供する形で始めたのですが、何年か経って商品を作るのは自分のためではなく、お客さまのために作るように変わってきたと思います。
お客さまのお顔を見て、どういうものが好きというお声を聞きつつ、自分が持っている軸は曲げないようにしたいです。
お客さまが望むものと自分が作りたいものの両方を大切にしていきたいですね。
——久保田さまの現在の取り組みについても詳しく教えてください。
stinaは東日本大震災をきっかけに、2012年に立ち上げました。
そこから10周年の時に、劇場に着ていくお洋服をコンセプトにアパレルラインも展開しています。
日本ではお稽古でバレエをされている方はたくさんいますが、やはりバレエを観に行く文化が一般的にあまり根付いていないんですね。お客さまが劇場に足を運んでくだることが、日本でプロバレリーナが生きていけるようになることに繋がっているのです。
なので、バレエそのものや公演を観に行くことにもっと興味を持っていただけたらと思い、新たな角度からバレエ芸術の普及を目指し、アパレルブランドをはじめました。
現在はブランドを通して商品の販売をしているだけではなく、若手バレリーナの育成やサポートも行っています。
また、初めてバレエを知る子どもたちのために、バレエに触れるワークショップやチャリティ活動などの事業も展開しております。
——製品開発から販売まではどのようにされているのですか?
商品開発に関しては、私が全てを行っています。
半年ごとにコレクションとして出しているのですが、 その時にミューズとなるバレリーナをお願いし、その人のためにコレクションを作っています。
なので、私がミューズの方をプロデュースするとしたら、という考えで「この人がこのレオタードを着たらどういう風になるかな」というのを想像しながら、コレクションのテーマを大切にしつつ、テキスタイルやデザインを考えていますね。
そして、stinaはほとんどが受注販売なので、お客さまの予約を受けてから発注しています。
ウェブサイト上の販売のみで店舗がないので、写真の世界観は大切にしていますね。
物を売るための写真というよりも、ブランドの世界観、今シーズンのテーマの世界観をお客さまにお伝えできるように撮影を行っています。
——近沢レース店と出会った経緯やきっかけを教えてください。
義姉が近沢レース店さんの大ファンで、家族からプレゼントとしていただいたことが出会いのきっかけでした。
最初に「豚に真珠」のハンカチを手にした時は遊び心がすごく素敵だと思いましたし、「夢喰いバク」や「お寿司」のハンカチなど、アイディアやデザインが面白くて毎回衝撃的でしたね。
私自身もものづくりをするときに、面白いことをしてお客さまをあっと驚かせたいという思いがあるので、このハンカチをみた時に「お客さまを喜ばせたい」「お客さまに楽しんでほしい」という思いがあることに共感していました。
なので、今回ご縁をいただきまして、こんなに可愛いコラボ商品を開発できたことが、本当に光栄です。
——コラボ第1弾の商品開発についても、こだわりを教えてください。
第1弾では王道に、stinaと近沢レース店さんの「可愛い」を掛け合わせた商品を作りたいと考えていました。なので、stinaのブランドカラーでもあるくすみピンクと白のハンカチ・タオルでコラボさせていただきました。
元々お客さまから、「大好きなstinaのロゴを見て、レッスン中にテンションを上げたいので、タオルを作ってほしい」というご要望をいただいていました。
ただロゴを入れたタオルを作ってもお客さまが欲しいと思ってくださっている「stinaらしいタオル」にはならないなと思っていましたので、レースで表現したら間違いなくお客さまの気分を上げることができると思いましたね。
お客さまからは反対に「可愛すぎてもったいないから使えない」とおっしゃっていただくくらいに喜んでいただいております。
また、淡い色の組み合わせ自体はstinaのお客さまだけではなく、近沢レース店さんのファンのみなさまにも気に入っていただけたみたいで、それも嬉しかったですね。
——先日発売した近沢レース店との第2弾コラボ商品のおすすめポイントやこだわりを教えてください。
第2弾はバニティポーチを作らせていただきました。
バレエは舞台メイクをするので、化粧品をたくさん用意します。
なので、発表会や公演で持ち運べるように、メイク道具を全て入れられる大きめのサイズに作っていただきました。
こだわりはくすみピンクのカラーと、ハンカチの時に作っていただいたレースをたくさん使いたいということを伝えましたが、チャックのチャームをはじめから真珠風のビーズにしていただいたり、stinaのブランドとしての好みを汲み取っていただいたことが本当に嬉しかったです。
——商品開発秘話や実際に製品開発をした時の様子などを教えてください。
どの商品も最初から、イメージ通りのものがファーストサンプルで出来あがっていました。
ものづくりをしていて、1回でイメージを共有できること自体が珍しいので、私はそれにすごく感動しましたね。
近沢レース店さんがそれだけ真剣に商品を作ってくださっていることに感銘を受けました。
——商品を手に取ったお客さまにどう感じてほしい、使ってほしいという思いはありますか?
まずは、お客さまに嬉しい驚きを感じてほしいというのがあります。
アイテムが届いて、箱を開けた瞬間に驚いていただきたいという考えから、コラボのハンカチをオーガンジーの袋に入れてお届けしました。
こんなに可愛い商品をただの袋に入れるのはもったいないので、お客さまが届いた時「本当に可愛い」と思っていただけるように、ブランドの世界観が伝わることを大切にしています。
そして、お客さまが使う時は「目に入っただけで可愛い」「気分が上がる」というように、生活に彩りを与えられるアイテムになったらいいなと思っています。
——今後の目標がありましたら、ぜひ教えてください。
今回のコラボを通じて「バレエはやっていないけれど、このハンカチ持ちたいわ」と思ってくださった方など、stinaを知ってくださる方が増えることで、バレエの普及につながったら嬉しいです。
バレエを知って、バレエに触れてみたい、バレエを観に行ってみようかなと思っていただける機会を少しでも多く作ることが会社の目標でもありますね。
もちろん、可愛い商品を作って、たくさんのお客さまに愛していただくことも目標ですが、それだけではなくお客さまの体験につなげていけるようなブランドになりたいです。
また、もし第3弾のコラボをするとしたら、今までの商品の可愛さを超えるものを作れたら嬉しいですね。
——最後にコンテンツを読んだ方へメッセージをお願いします。
いつもstinaをご愛顧いただき、ありがとうございます。
今回素敵なご縁をいただいて新たにstinaのことを知ってくださった方、近沢レース店さんのファンの方、商品を手にとってくださった全てのお客さまに感謝しています。
そして、みなさまに「可愛い」「素敵な商品だわ」と嬉しい気持ちや幸せな気持ちを感じていただけたら、私自身も嬉しいです。
ぜひコラボアイテムをたくさん愛して使ってください。