近沢レース店の「プリンセスレース」元町ワークショップ|当日の様子や先生へのインタビューをご紹介!
- コンテンツ
- 2024.07.12.
近沢レース店元町本店では、月に一度、プリンセスレースの研究をなさっている阿部 薫先生をお招きし、レース作りのワークショップを実施しています。
ワークショップではただレースに触れるだけではなく、優雅な時間と空間、人との繋がりを大切にしています。
レースが流行した19世紀初頭に思いを馳せて、プリンセスレースの美しさや、実際にレースを編む、優雅な時間が流れています。
今回は特別にワークショップ当日の様子を取材させていただき、生徒のみなさまや阿部先生から、ここでしか味わうことの出来ない魅力を教えていただきました。
“楽しい”という感情を大切にした、「プリンセスレース」の元町ワークショップについて詳しくご紹介いたします。
プリンセスレースとは
1800年代の終わり頃、産業革命によりレースブームが巻き起こり、貴族達のほかにも富裕な市民層をはじめ、ごく一般の女性達もレースを所有したがる時代がありました。
その時にベルギーで作られたレースが「プリンセスレース」です。
「プリンセスレース」は、ボビンレースやニードルレースに比べ、比較的短時間で気軽にできるため、商業化できるレースとしてすぐに話題となり、広く人気のあるものとなりました。
また、プリンセスレースは、テープワークレースとも呼ばれ、テープで花・葉・軸といったモチーフを別々に作り、機械生産のチュールネットの上に針で縫いとめていきます。
1センチ幅のテープレースの世界で表現することが現在、阿部先生の元町ワークショップでもテーマとされています。
当時はたくさんのプリンセスレースの職人が存在していましたが、次第に減少の一途をたどり、現在は職人がいなくなってもおかしくない状態となっています。
プリンセスレースについて詳しくはこちらをご覧ください。
近沢レース店の「プリンセスレース」元町ワークショップ
月に一度、近沢レース店元町本店で行われているプリンセスレースのワークショップは今年で開催17年目になりました。
ワークショップと聞くと、教室や習い事のようなイメージが強いかもしれません。
ですが、近沢レース店で実施しているワークショップは、日々お仕事や家事に勤しまれている生徒のみなさまが、その日だけは日常から切り離されて「自分のために使う日」なのです。
ある日は美味しいランチをして、綺麗なレースを作り、終わった後にもちょっとお買い物をしたり。とにかく“楽しむ”ことを大切にしています。
王侯貴族でレースが流行していた19世紀初頭、男性がシガールームでゲームや談笑をするように、ご婦人は刺繍会やお茶会を開いていました。
その流れを組んだコミュニティとして、プリンセスレースのワークショップは女性にとって居心地が良く、息抜きができるサロンなのです。
少人数で実施しているため、生徒のみなさまは決まったテーマや作品ではなく、一人ひとりがご自分の趣味に合わせて作りたいデザインを選んでいます。
大作は3、4年ほどかけられたり、人によってもデザインや作成するペースはさまざま。
阿部先生に伺ったところ、同じものを一斉に創作すると競争になってしまうこともあり、ひとりだけやり直しになってしまったり、上手くできなかったと嫌な気持ちが生まれてしまうことを危惧しているのだそう。 「もう人さまとは比べないで、ご自分で好きなように楽しんでほしい」とのことでした。
実際に生徒のみなさまの作品はボンネ(帽子)やショール、クラバット(ネクタイの前生)、ブローチやエンブレムなど多岐に渡ります。
元町ワークショップ当日の様子をご紹介!
元町ワークショップでは、この日は3名の生徒のみなさまと阿部先生がひとつのテーブルを囲んで、和気藹々とおしゃべりをしながらレース作りを行っていました。
実際に普段の様子を伺うと、静かに作業をする時もあれば、疲れてきてお喋りを楽しんだり、日頃から生徒のみなさまが一緒に過ごす雰囲気を大切にされているのだそう。
いま実際に何を作られているのか、生徒のみなさまに伺うと、その日は偶然にもみなさま同じ作業をされていました。
キャンバスの小さなブローチを作成する前の練習として、精密なデザインのエンブレムで細かいニードルポイントステッチをされているのだそう。
キャンバスが小さくなるということは大きな作品とは工程が異なり、デザインのバランスを考えた一針のスケール感が変わります。
作っているものが同じデザインのレースでも小さな作品は縁取りをよりはっきりさせることが必要。
ただ、同じ作業でも人によって個性が表れ、それぞれ味のある素敵な作品ができあがると教えていただきました。
阿部先生が「色がついてたら大変だったわね」とお話しされると、生徒のみなさまは大きく頷いていらっしゃいました。
実際に色がついたレースもあるそうですが、色をつけると作成する際により注意深くバランス感覚を意識する必要があり、難易度が跳ね上がるのです。
そのため、現在のレース作品はエクリュという生成りの色に染めた糸一色で作成することで、日常の服装にも合い、レース本来の形を楽しめる工夫がされています。
元町ワークショップはただレースに触れて作るだけではなく、レースの深い知識を得られる場所でもあります。
実際に生徒のみなさまはレースについて話しながら、笑顔でワークショップを楽しんでいらっしゃいました。
生徒のみなさまに聞きました!元町ワークショップの魅力
生徒のみなさまは、それぞれレースに対する思いは異なります。
どこにも売っていない、自分だけの素敵なレースを作りたい。
レースの柄や歴史が好きで、少しでもレースに近づいてみたい。
綺麗なものが好きという感覚をいちばんに満たす形で、レースを自分で作れることに魅力を感じてくださっている方は多いでしょう。
今回は生徒のみなさまに伺った、ワークショップを始めたきっかけと「プリンセスレース」元町ワークショップの魅力をご紹介します。
私はテレビ番組でレースを作っているところを見て、これいいな、自分でやってみたいなと思ったのが始めたきっかけです。
原宿のレースセンターでこちらのワークショップを教わって来ました。
私がいつも素敵だなと思うのは、レースは日本の服飾の中に全然ないのですよね。
なので、部分的に使っても華やかなデザインや透け感で、普段経験したことがないような雰囲気の変化があります。
家では作品を額縁に入れて飾ったりしているのですけれど、レースによって飾ったり、身につけて楽しむこともできます。
幅広い楽しみ方ができるものはなかなかないので、そこも嬉しいですね。
私は友達に誘われてワークショップに参加しました。
プリンセスレースのワークショップは本当に、日々の仕事の息抜きになりますね。
こちらで教わったのですけれど、18世紀のレースのデザインが自分が作った物の中にも入っていて、やっぱり世界にひとつしかないものが作れるというのはすごいと思います。
新しいものではないけれど、世界にひとつのもの。
自分だけがそう思ってるだけでも、良いものを持っているとやっぱり気分が違って、毎日の楽しみです。
レース作りは、やり続ければいつか必ず終わりが来て完成します。
日常生活の仕事や家事ではあまりないことですし、コツコツやって仕上がった時の達成感はものすごく嬉しいのです。
私は美術館でダイアンさんの個展を見て、そこでワークショップの存在を知りました。
最初はトライアルでエンブレムを作る体験からさせていただいて、レースの可愛らしさや綺麗さに魅せられてから、今もずっと続けています。
作品を作って、それに愛着が湧くことも本当に素敵だと思っています。
あとは本当に、ワークショップメンバーとのおしゃべりができる時間が楽しいです。
近沢レース店さんが提供してくださったこの場所で、素敵な仲間と素敵な先生に恵まれて、またこの日のために毎日を頑張ろう、と楽しみにしてます。
阿部 薫先生にインタビュー!
今回は長年ワークショップの講師をされている阿部 薫先生にインタビューをさせていただきました。
プリンセスレースや元町ワークショップの歴史を振り返ると共に、ワークショップを始めたきっかけやその思いを伺いました。
——プリンセスレースのワークショップを始めたきっかけは何ですか?
実は元々お客さんとして利用していたレース屋さんのオーナーから、突然ワークショップの講師をお願いされたのです。
それまでは、建築関係の仕事で設計図面を描いていたのですが、アンティークレースやプリンセスレースの 絵柄に惹かれて、プリンセスレースの型紙を描きたいと思い、お願いいたしました。それがスタートです。
はじめは表参道や自由が丘で行っていたのですが、縁があって近沢レース店さんの元町本店(2階)で17年も続けさせていただいています。
本当にここまでずっと続けられてきたことは、やっぱり近沢レース店さんの素敵な環境でお教室をさせていただいてるっていうことが1番です。
——先生の思うプリンセスレースのワークショップの魅力は何ですか?
まず、みんなが“楽しい”ってことですよね。私はそのためのお教室だと思います。
生徒のみなさん、それぞれにステータスのあるお仕事や充実した家庭を切り盛りなさっていて、 大切な時間を使って来てくださいます。
だからこそすごく有効に楽しんでいただきたいと考えています。
何も考えずに夢中で楽しんでいただくのに、プリンセスレースはぴったりなレースなんですよ。
実はプリンセスレースは、手工芸ではなくてクラフト的なものなんですね。
例えば、ベルギーのお家で大切な娘がウエディングの準備をする時には、兄弟、親族がみんなで集まって、娘さんのためにプリンセスレースでベールを共同作業で縫って作っていたようです。
時には、素材のテープレースまで大量にボビンレースで作っていました。
プリンセスレースはフェルトでアップリケをしていくことや、布地でパッチワークをすることと同様に、縫って仕上げるとっても気楽なレースです。
なので、歴史のある崇高なアンティークレースの歴史をお伝えするだけものではなく、楽しみながらオリジナルでいろんなレース作品を作っちゃおうという、人に寄り添ったレースのワークショップであることも魅力のひとつだと思います。
——最後にメッセージをお願いします。
生徒さん同士で競争しながら、同時に同じ作品を作るのではなく、ご自分で作りたい作品をご自分のペースで楽しみながら制作なさっていただきたいです。
私たちはお仕事や日々の家事で、分刻みで働いています。
その生活が全てではなく、ちょっと息抜きに ご自分の一番楽しい事をなされたら、それがスポーツでも、お散歩でも、映画でも、お料理でも…また復活して元気になれるような気がします。
その息抜きのひとつに、プリンセスレースをなさっていただけたら幸いです。
まとめ
今回は近沢レース店で行われているプリンセスレースの元町ワークショップの様子をご紹介いたしました。
実際にプリンセスレースのように綺麗なものを、持っているだけでも毎日の気分が明るくなるでしょう。
レースのハンカチやアイテムは必ずしも持っている必要がないもの。
ただそこにあるだけ嬉しい、落ち着くといった人間らしい感情を大切にしていただきたいと阿部先生もお話しされていました。
日々を彩る自分の“楽しい”を大切に、ぜひ綺麗なもの、心躍るものを生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
その中で、近沢レース店のアイテムが、みなさまにとっての“楽しい”アイテムとなりましたら、幸いでございます。
コンテンツ一覧
Contents
- コンテンツ
- 2024.12.13.
和洋が交わる港町ならではの魅力が満載!横浜元町でおすすめのお土産12選をご紹介
- コンテンツ
- 2024.11.28.