純白のウエディングドレスに込められた意味とは?由来や歴史からルーツを辿る
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- 2023.06.17.
6月といえば「ジューンブライド」。6月に結婚する花嫁は幸せになれるとも言われ、結婚式を挙げるカップルが多い月でもあります。
そんな結婚式の衣装として女性の憧れでもあるウエディングドレスですが、一体いつから着るようになったのでしょうか。
今回は意外と知らないウエディングドレスの由来や純白の意味についてご紹介していきます。
ウエディングドレスの白に込められた意味とは
ウエディングドレスの白には「清純」「清楚」といったイメージがあります。今までの自分をリセットして「嫁ぎ先の色に染まります」というメッセージも込められています。
日本でも白は神に使える神聖な色とされており、花嫁の白無垢には「邪気を払う」という意味が込められていました。
新たな門出に白を着るというのは西洋も日本も共通した価値観だったんですね。
ウエディングドレスの歴史
最初は白ではなかった!ウエディングドレスの起源
中世ヨーロッパの結婚式では白いウエディングドレスのほかに鮮やかな赤や緑が人気のカラーでした。そのドレスにさらに金や銀の刺繍をほどこし、たっぷりと布を使い贅沢にレースをあしらって絢爛豪華に仕立てたそうです。
今のウエディングドレスのイメージとはかなり異なる雰囲気ですね。
当時、結婚式とウエディングドレスは花嫁の実家が財力と地位を周りに示すための場でもありました。「我が家は地位が高く豊かである」と周りや嫁ぎ先に知らしめるために、ウエディングドレスは煌びやかであることが最も重要とされていたそうです。
白いウエディングドレスはいつ広まった?
上でお話した通りウエディングドレスとしては赤や緑の人気が非常に高く、白いドレスは非常に貴重なものではありますが、国王に拝謁する際に選ばれることの多い色でした。
中世のウエディングドレスは、現代のように結婚式の日だけレンタルする訳ではありません。非常に高価な物なので、結婚式の後も仕立て直して一生のうちに何度か着用することもありました。
白は汚れると洗濯が大変ですし、何年も純白を維持するのは非常に難しく白いウエディングドレスは長期間保存するにも技術や財力が必要とされていたのです。
そんな白いウエディングドレスが急激に一般に普及したのは1840年のイギリス、ヴィクトリア女王が自分の婚礼の儀で着用したことがきっかけです。
ファッションに敏感だったヴィクトリア女王は従来の伝統に囚われない白いウエディングドレスを着用し、周囲に衝撃を与えました。
18世紀ヴィクトリア女王のウエディングドレス
ヴィクトリア女王が白いウエディングドレスを選んだ理由は諸説ありますが、そのうちの一つが「繊細なレースの美しさを際立たせるため」という理由があるとされています。
当時贔屓にしていたイングランドのレースメーカーと職人たちを支援するために、もっともレースが綺麗に見える白いサテンのドレスを選んだといわれているのです。
もちろん諸外国の有権者たちは、こぞってこのヴィクトリア女王のこの白いウエディングドレスを真似しました。
その結果、白いウエディングドレスは権力者から庶民にまでヨーロッパ中に一気に浸透し、それとともにドレスの装飾として繊細なレースの人気も高まりました。イングランドのレースメーカーの需要も急増したそうです。
ウエディングドレスに欠かせない美しい装飾と小物
現代でもウエディングドレスを着用する際には、ベールやグローブといったレースをあしらった小物は欠かせません。ウエディング小物と呼ばれるこれらの装飾品によって、花嫁姿の美しさは大きく左右されるといっても過言ではないでしょう。
もちろん美しく見せるだけでなく、実はベールやグローブ、トレーンにもひとつひとつ意味が込められています。
ウエディングベール
花嫁が頭から被りバージンロードを歩くベールは古代ギリシャ・ローマ時代から続く伝統的な装飾です。「顔を隠すことで邪悪なものから守る」という意味合いがあります。
現代では短めのショートベールから、ドレスより長いロングベールまでさまざまな種類があります。
グローブ
グローブは花嫁の「無垢」を表しており、結婚前に穢れのない状態を守るという意味があります。
またキリスト教の場合は過度な肌の露出をさける意味合いでも使われています。中世では美しいグローブをすることで「召使いがいるので家事はしません」という地位の高さを示すこともできました。
素材は「オーガンジー」「サテン」「レース」などでできていることが多く、特にレースのものは装飾は華やかで、レースのデザインによってウエディングドレスの印象を変えるアイテムです。
トレーン
トレーンとはウエディングドレスの後ろ裾部分を指します。中世のヨーロッパではトレーンの長さが身分を表すと言われ、高貴な女性ほど長いトレーンのドレスを着用していたそうです。
刺繍やレース、パールなどが施されたロングトレーンは後ろ姿を綺麗に見せることができます。バージンロードなど後ろ姿を見せることの多い花嫁にとっては美しく見せる為の大切なポイントです。
日本でも広まった純白のウエディングドレス
それでは、和装で生活し結婚式には白無垢を着用していた日本にはいつ純白のウエディングドレスが持ち込まれたのでしょうか。ウエディングドレスが普及した日本の歴史をすこし紐解いてみましょう。
日本で初めて白いウエディングドレスが着用されたのは、1873年の長崎だといわれています。当時のオランダとの貿易が盛んで、外国からの物・文化・技術の入口だった長崎で開かれた結婚式で花嫁が着用しました。これが初めての日本でのウエディングドレスを着た結婚式といわれています。
しかし招待客は富裕層や海外からの要人などがほとんどで、一般人の目に止まることはなかったようです。西洋の式や衣装はあまりにも当時の生活とかけ離れていたため普及には至らなかったのかもしれませんね。
日本で純白のウエディングドレスが本格的に浸透したのは、1959年「世紀のご成婚」と言われた現・上皇陛下と上皇后のご結婚でした。
その様子はテレビ中継され、白いウエディングドレスにローブ、ティアラという当時ではまだ珍しかった西洋式の婚礼衣装に日本中の一般女性は目を奪われました。
まとめ
いかがでしたか?今回はウエディングドレスについてご紹介しました。200年以上前、ヴィクトリア女王が火付け役となった白いウエディングドレス。
現代では当たり前になった白いウエディングドレスですが、たくさんの意味やメッセージが込められているのです。
そして現代のウエディングドレスは、中世から少しずつ形を変えながら受け継がれてきたものです。そう思うとなんだかとても感慨深いですね。もしレースを手に取る機会があったなら、中世の花嫁にすこし思いを馳せて見るのも素敵かもしれません。
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