貴婦人の三種の神器「日傘」。近沢レース店の日傘の魅力に迫る!

皆さん、こんにちは。近沢レース店・営業責任者の近澤 柳です。
今年は観測史上初の6月での梅雨明けとなり、すでに真夏のような日々が続いていますね。くれぐれも熱中症には気をつけてお過ごしください。

さて、日差しが強く、暑い夏に欠かせないアイテムといえば・・・「日傘」ですよね。近沢レース店でも、レースを用いたあらゆる日傘を取り扱っています。
実は、日傘とレースには意外な繋がりがあることをご存知でしょうか?

今回は、日傘の歴史と、近沢レース店のこだわりの日傘をご紹介していきます。日傘の新調をお考えの方はぜひご覧ください!

18世紀ヨーロッパでは、日傘=ステータスシンボルだった?

「散歩・日傘を差す女」クロード・モネ(1875年)

18世紀のヴェルサイユ宮殿、王侯貴族たちは、男女こぞっておしゃれを楽しみました。当時、女性の三種の神器といわれていたのが、レースのハンカチ、レースの扇子、そして、日傘(パラソル)です。

美白は高貴であることの現れとされていたため、糸の宝石と称されるレースをあしらったハンカチや扇子同様、日傘も貴婦人達のステータスアイテムだったわけです。そして、当初の目的であった「日除け」から、より趣向を凝らし、よりおしゃれなものに変容していきます。

日傘をさしているたたずまいが美しく見えるように、サイズも小さくなり、当時は直径で40〜50cmくらいの大きさだったそうです。日除け用には、大きなパラソルが別に用意されていたともいわれております。まさに、おしゃれアイテムですね。

また、当時の日傘には、意外な使い方がされていたといわれています。それは、意中の男性に秘密のサインを出していたのです。
開閉や、持っている手、角度などで、気持ちを伝えたり、待ち合わせ場所などを知らせていたのでしょうか?今のようにメールや、SNSがありませんからね。皆さんも、当店の日傘で、秘密のサインを出してみてはいかがでしょうか?

19世紀に入ると、日傘にもレースがあしらわれるようになります。美の掛け算のはじまりです。

近沢レース店の日傘

近沢レース店の日傘

200年以上、女性を魅了したレースの日傘。創業明治34年の当店では、およそ30年近くレースの日傘を扱って参りましたが、レース屋の仕事としてふさわしい日傘を日々研究し、皆様へお届けしております。
今回は、現在お取り扱いのある日傘のラインナップと、特徴をご紹介いたしますね。

正統派「純パラソル」

正統派「純パラソル」

当店の夏の定番ともいわれているアイテムが、この純パラソルと呼ばれている、日傘です。
生地はリトアニアのリナス社のリネンを使用し、レースに合わせて綺麗な色に染色した鮮やかな色合いのパラソル。

レースはわたしたちのオリジナルデザインで、フランス刺繍の流れを汲むベトナムで織りあげました。リトアニアからのリネン、ベトナムからのレースは、京都で熟練職人たちが日傘に仕上げます。
世界各国から、厳選した素材をあつめ、最適な生産地で製品化する。これが私どものものづくりの精神です。

正統派「純パラソル」
正統派「純パラソル」

麻は日傘の素材にベストチョイス?

麻を生地に採用しているのには、理由があります。麻本来の特性です。
数ある特性の中で、紫外線遮蔽率、通気性、遮熱性が高いことがポイントです。

わたしたちが選んでいる日傘用のリトアニアリネンは、80%前半から90%中盤くらいまでの紫外線遮蔽率があります(色によってばらつきがあります)。あえて生地には、遮光や遮熱加工などの特殊加工を施しません。麻本来の通気性を感じていただきたいからです。
レースと麻生地の透け感、見た目にも涼し気で、夏の炎天下でも風が抜け、木陰にいるような感覚を味わっていただけます。

正統派「純パラソル」
正統派「純パラソル」
正統派「純パラソル」

シーズンごとに毎回趣向をこらしたレースがそそります!

当店の日傘は、毎年趣向をこらしたレースデザインが登場いたします。
今シーズンはエレガントなカラーリリートに、幅広レースがクラシカルなアールデコとプランツ。どれも和装との相性もばっちりです。

今年も、京都の職人さんにご協力いただき、企画段階から日傘にぴったりのレースをオリジナルで仕立てました。
実はレースでできた影がとっても綺麗です!ぜひ足元のレースの陰影をお楽しみください!

正統派「純パラソル」

熟練の職人技

実は純パラソルの職人さんは、どんどん減少しているといわれております。雨傘、晴雨兼用日傘は需要も多く、海外でも生産されていますが、需要が少なく手仕事に頼るところが多い純パラソルは職人が減る一方。

そのような中、当店の日傘は京都の熟練の職人さんが一本一本丁寧に組み立てをしております。最大の特徴は「パンっ!」としている張りです。
雨傘は雨が流れる道を作るため、つゆ先と呼ばれる部分の間の生地は少し凹んでいるような張り方なのですが私たちの純パラソルは、まるで風船が膨らんでいるように張っているのが特徴なのです。

技ありは、生地だけではありません。レースの「ピーン!」とした張り感です。デザインの段階から計算し、日傘にあしらった際に、最も美しく見えるレースを織りあげます。
「パンっ!」と張ったリトアニアのリネン、「ピーン!」張ったベトナムのレース、京都の熟練職人の技をご堪能ください。

晴雨兼用傘

晴雨兼用傘

近年の天候は本当に良くわからないですよね。突然の雨が多く、天気予報とは違う結果になることもしばしば。

そのような中で、お客様からのお声を反映し、数年前からほんのわずかですが、晴雨兼用傘のお取り扱いを開始しております。
以前、レース柄の捺染や抜染という技法で雨傘を作成したことはあるのですが、レースそのものを晴雨兼用で使用できるようにするには、どうするか?そんな難関にぶつかり、試行錯誤の末、完成したのが現在の晴雨兼用傘です。

雨でもレースを持ちたい!気持ちにお答えしました

晴雨兼用傘

なんといっても当店へのご期待である、レースへのこだわりは捨てないこと。しかし、レースは元々透け感が特徴です。でも雨を防がなければならない。

ほとんど「とんち」ですよね?
このとんちは、雨を防ぐ生地とレースをボンディング(張り合わせる)というアイディアで解を導き出しました。遮光・紫外線遮蔽率99%で雨を防いでくれる生地は、色を鮮やかにし、張り合わせたレースをより一層彩らせる組み合わせにしております。

中からみてもうっとり

晴雨兼用傘

傘はご自分では外からではなく、中から見ることが多いですよね?ですから、持った方が楽しくなるようなデザインを心がけました。

開くとお花が咲いたように見える、軽量で丈夫な「グラスファイバー」の骨は、桜の花びらのような可愛いデザインで、更に、骨の数を減らすことによって、軽量化にも成功しております。
このような傘なら、何度も開きたくなりませんか?

純パラソルと晴雨兼用傘で迷っている方へ

ここまで当店の今年のラインナップである、純パラソルと晴雨兼用傘の説明をしてきました。どちらも素敵すぎて、どっちを購入しようか、迷われている方も多いのではありませんか?

正直に申し上げますと、どちらも本当におすすめです!用途によって違いがあるので、結論を出すことが難しいのですが、ここからは、それぞれの日除けに対する数値的な部分や、体感温度、そして長所の比較を行っていきたいと思います。

UV遮蔽率

純パラソルは、前述しましたが、生地の色によっても変わるのですが、今シーズンの当社のラインナップでは一番低くて、84.7%(グレー色)。一番高くて、95.8%(ネイビー色)。となっております。

84〜95%もUVカットできれば申し分はないのですが、一方で晴雨兼用傘は99%カットします。本当に紫外線を気にされる方は、晴雨兼用傘がおすすめです。

体感温度について

実は日傘をさす上で、数値にはできないのですが、重要なポイントが「体感温度」なのです。
一般的に濃色(例えば黒色とか)は、太陽熱を吸収しやすいといわれており、熱が篭りやすいのです。しかし、濃色の方がUVカット率はほとんどの生地で高くなります。
紫外線はカットしてくれているのに、日傘をさしていて、暑いと感じるのは、このせいなのです。

しかし、当店の純パラソルは、濃色でもリネン生地を使用しているため、風通りが良く、熱が発散され、篭りません。一方で晴雨兼用傘は、雨を通さない代わりに風も通さないため、熱が発散されにくく、篭ります。
以前、私がこの比較を、真夏の40℃近い気温の中で行った動画もございますので、ご興味がある方はご一覧くださいね。

この動画でも感じたのですが、晴雨兼用傘はどうしても真夏の強烈な日差し、気温の下では頭の方に熱がこもっている感じがしました。しかし、純パラソルをさしてみると、全然違う場所にいるかのように感じるのが不思議でした。
やはり、日傘をさしている時、快適になりたいではないですか?その快適性を重視するのであれば、おすすめは純パラソルです。

突然の天候変化への対応

ただ、本当に最近突然雨降りますよね・・・
私も朝はいいお天気なので、傘を持たずに仕事に行って、夜帰宅の際に雨に振られることが多々あります。そんな急な天候変化に対応できるのは、晴雨兼用傘なのです。

上述したYouTube動画でもテストしているのですが、かなりの雨量でもちゃんと持ち堪えられますので、安心です!

レースで涼やかな気持ちになりませんか?

さて、いかがでしたでしょうか? 当店の自慢の日傘のラインナップのご紹介と、どちらを選ぶべきか?ご自身にあったものは見つかりそうですか?

いろいろご紹介して参りましたが、私のおすすめは純パラソルの日傘です。天然素材のリネンと豪華なレースの融合、そしてそれを京都の職人さんが手掛け、皆さんのお手元へと渡っていく。 そしてそれをお使いになり、木陰にいるような感覚を味わっていただき、レースが落とす陰影にうっとりしてくださいませ。