タオルハンカチの生地に込められた“近沢レース店らしさ”。愛媛県今治市にある「株式会社ユースさま(吉井タオル株式会社さま)」へインタビュー

タオルハンカチの生地に込められた“近沢レース店らしさ”。愛知県今治市にある「株式会社ユースさま(吉井タオル株式会社さま)」へインタビュー

近沢レース店の大人気・定番商品といえば、タオルハンカチ。デザインの豊富さや使い勝手の良さから、たくさんのお客さまに愛されています。
タオルハンカチをご購入いただいたお客さまのお話をお聞きすると、日常使いからちょっとした贈り物、コレクションとしてなど、あらゆるシーンでご活用いただけているようです。

当店のタオルハンカチの魅力はさまざまありますが、今回は「生地」に着目していただきたいと思います。
表面はシャーリング加工を施し、見た目の美しさや手触りの良さが特徴のひとつ。もちろん、長くご愛用いただけるよう、丈夫さや使いやすさといった実用性にもこだわっています。

そして、皆さまに当店のタオルハンカチをもっと好きになっていただけるよう、生地の製造をお願いしている株式会社ユースの福田さん、吉井社長にお話を伺いました。

——まずは株式会社ユースさまについて教えてください。

福田さん:弊社は愛媛県今治市にある会社です。全国の小売店さま向けに、タオル縫製品の企画卸販売を主に行なっています。使用しているタオル生地は、グループ会社である吉井タオルで製造しています。

タオルをつかうことを日々の楽しみにしていただけるよう、タオルグッズを世の中へ伝え広げていくことが私たちの使命です。

タオルのパイル糸には、減農薬栽培され手摘みされた「インド綿」を、甘撚り(あまより)に仕上げ、「タオル専用糸」として使用しています。

製造時には清冽な今治の水を用い、常温常圧で時間と手間ひまをかけて晒した糸を織り上げ仕上げていきます。
そのため、タオルの触感もほかとは一味違う仕上がりになっていると思います。綿花綿糸が本来持っている「やさしい柔らかさ」を楽しんでいただきたいです。

また、糊抜きも時間と手間をかけてていねいに行なっているので、吸水性や乾きやすさも特徴です。お洗濯の際、柔軟剤を加えなくても柔らかさが持続するのも、当社のタオルの特徴です。

——近沢レース店との出会についてご存じですか?

福田さん:私が入社した頃からあったので、どういったきっかけでおつきあいさせていただいたのかはわからないのです。私の聞いた話ですと、少なくとも20年くらいは長い付き合いがあると思いますよ。

——近沢レース店のタオル生地の特別なこだわりはありますか?

タオルハンカチの生地に込められた“近沢レース店らしさ”。愛知県今治市にある「株式会社ユースさま(吉井タオル株式会社さま)」へインタビュー

福田さん:基本的には、先ほどお伝えしたような弊社のこだわりや特徴をふまえたタオル生地を納品させていただいています。
タオルってよく毛羽立つイメージがありませんか?それは糸の製造時に綿1本1本の長さが一定になっていないからで、何度も使っているうちに短いものや長いものなど差が出てくることで毛羽立つ状態になってしまうのです。

当社では、糸を紡績する段階でそういった短いものを取り除く作業をしています。そして弊社が指定した方法で糸に撚ってもらっているんです。
近沢レース店さまに納品しているものも綿が均一なので手触りがよく、何度洗っても使い続けられる丈夫な生地になっています。

——「甘撚り」もユースさんのタオルの特徴とお聞きしました。

福田さん:はい。「撚り」というのは綿の繊維をねじって糸にしていく工程のことをいいます。その撚りの回数が少ないものを一般的に「甘撚り」というんですね。甘撚りと一口にいってもいろいろなものがあるんですよ。
弊社は独自の方法でオーダーメイドをお願いしているので、一般的な甘撚りとは少し違う部分もあります。詳細は企業秘密なのでお伝えできませんが、吸水性を保ちつつ、極力毛羽立ちを抑えた甘撚りの方法をお願いしています。

近沢レース店さんのタオルハンカチの場合は、細い系を使うようにしています。ボリュームは若干減りますが、柔らかさ、繊細さが増すんです。やはり糸が細いタオルの方が、自然な手触り・肌触りに仕上がるんですね。

見た目の部分では、片面のシャーリング生地も特徴的ですね。シャーリング生地はループの部分がカットされているのですが、仕上がりの最終調整時に、化粧刈りといって、表面をさらに綺麗にする作業を施しています。そのため、非常に艶感のある美しい見た目になっています。

今のスタイルになるまでも、試行錯誤してきました。近沢レース店さまとは長いお付き合いですし、弊社としてもよりよいものにしていこうという思いでお取引させていただいています。

——当店のタオルハンカチはカラーバリエーションも非常に豊かです。染色に関してもこだわりはありますか?

タオルハンカチの生地に込められた“近沢レース店らしさ”。愛知県今治市にある「株式会社ユースさま(吉井タオル株式会社さま)」へインタビュー

福田さん:基本的には弊社関連の染色工場で染めています。染料に関しても環境や人体に悪いアゾ化合物などの含まれたものは一切使わずに、国際基準で決められたものを使用しています。
あとは、織り上がったタオル生地が少しでもダメージを受けないように、なるべく常温に近い温度で糊を抜いて染色するようにしています。

タオルというのは織る際、毛羽立ちを防ぐために糊付けを行うのが一般的なんですね。そのままの状態のタオルは、吸水性や手触り肌触りが悪く、染色の妨げにもなりますので、染色前はその糊を落とす必要があります。

おそらく一般的には高温で一気に糊を落とすのですが、弊社では糸へのダメージを考慮して、低めの温度でじっくり時間をかけて糊を落としていきます。
そうすることで糸へのダメージも少なく、綺麗な仕上がりになるんですね。これは近沢レース店さまのタオルにも同様の処理を行っています。

——当店の新作タオルハンカチを見るたびに、染色技術の高さも感じます。

福田さん:近沢レース店さまの場合、染色の再現性は特に注意しています。色の種類が豊富だからこそ、同じ色でのご依頼がきた場合はいかに最初の色味に近づけられるか意識しています。
中にはブレやすい色というのもありまして。その場合は何度かやり直して調整していきます。染色の再現性に関してはかなり厳しくみている方じゃないでしょうか。

近沢レース店さま側の検品も厳しくやっていただいているので、タオルハンカチとしての質も常に高い状態をキープしたものをお客さまに提供できていると思いますね。

——当店のタオルハンカチは、何度洗濯してもダメになりにくいので使いやすいといったお客さまのお声もいただきます。

福田さん:ありがとうございます。縦横のバランスや生地の柔らかさ、丈夫さにおいてちょうどいいバランスがとれた生地を納品させていただいています。
近沢レース店さまのタオルは、ハンカチの為につくられたオリジナルの生地なので、やっぱり特別ですよね。

——改めてタオル生地に注目してみると、さまざまなこだわりがあることがわかりました。

福田さん:近沢レース店さま同様、他のお取引先さまとも密に連携しながら、その方々にとって必要な生地を納品しています。
近沢レース店さまに関しては、最近はタオルハンカチの売上も伸びているようですし、弊社としても生産が間に合わない状況になることもあり、心苦しい反面、嬉しさやありがたさも感じています。

——最後に、福田さんが思う御社のタオルの魅力を教えてください。

福田さん:見た目は普通なんです。でもたぶん今までに使ったことがないタオルなんです。実際に目で見て手に取って使って、良さを実感していただきたいですね。

生地がしっかりした商品もあれば、ふわふわの柔らかい商品もありますし、ワッフル、ガーゼ、いろいろありますが、共通して言えるのは使い心地が良い。そして、何度洗濯してもダメになりにくいんです。

私は前職もタオル関係の仕事をやっていまして、この業界自体に入って35年くらい経つのですが、扱い、使ってみてやっぱり違うなと思いました。
今治のタオルってこういう感じだよね、というイメージが自社商品で覆されたんですね。

ぜひ皆さまにも、近沢レース店さまのタオルハンカチを通じて、弊社のタオルの違いを感じていただけたら嬉しいです。

タオルハンカチの生地に込められた“近沢レース店らしさ”。愛知県今治市にある「株式会社ユースさま(吉井タオル株式会社さま)」へインタビュー

また、株式会社ユース 代表取締役の吉井社長にもお話をお聞きすることができました!

——株式会社ユースさまと近沢レース店との出会についてご存じでしょうか?

吉井社長:近沢レース店さまの実現したいハンカチと、弊社のできることがマッチしたというのがお取引のきっかけだと認識しています。
もちろん他にも良いタオルを作っている会社さんはたくさんありますが、近沢レース店さまのこだわり抜いたハンカチを形にする上で弊社との相性が一番良かったのだと思います。 こうしてご縁があり、長年お取引させていただいているのはとてもありがたいです。

——当店のタオル生地を製造する上でのこだわりはありますか?

吉井社長:まずひとつ目は、今治産のタオルのもつ魅力があります。今治の質の良いタオルは糸を晒してから織るんです。専門用語で「精練漂白」といい、糸本来の柔らかさや吸水性を引き出すことができます。

二つ目は、使い勝手よく、柔らかさが持続するように、甘撚りの糸を使っているのがポイントです。これは福田も話している内容と同じですね。

三つ目は、タオルの織り方です。タオルを織る機械には、総柄の生地を織る「ジャガード織」と、幾何学模様や千鳥格子などの小さな連続柄を織る「ドビー織」というものがあります。近沢レース店さまのタオルは、ドビー織を取り入れており、均一性のある生地に仕上がります。

四つ目は糸を織る際のバランスです。タオルは縦糸と横糸とパイル系(ループになる糸)を組み合わせて織りますが、このバランスは細かく調整しています。洗ってもヨレたり、しわが寄ったりしないような作りになっています。

——吉井社長の思う御社のタオルの魅力を教えてください。

タオルハンカチの生地に込められた“近沢レース店らしさ”。愛知県今治市にある「株式会社ユースさま(吉井タオル株式会社さま)」へインタビュー

吉井社長:すべての製品において、原料となる綿の良さを素直に引き出して損なわない手間ひまをかけたタオル作りを心がけています。

また、「いいかげん」の感覚も忘れないようにしています。「いいかげん」と言うのは「いいかげん(適当な)」という意味もあるけれど、「(ほど)良い加減」という意味でもあります。
天然繊維である糸に対しても、身を任せるではないですが、素材の声を聞いて作っていく、ハンドルの遊びのような振れ幅があるからこそ良い、という捉え方をしてタオル作りをしています。

——その都度作るものによって、生地の具合や必要な素材、施す技術などを調整していらっしゃるんですね。

吉井社長:そうですね。工場製品だから規格品(色やサイズが均一なもの)を求められますが、素材のもつ魅力を最大限引き出すことも弊社のタオル作りにおけるこだわりです。

——お客さまからも、「何度洗っても購入当時と変わらない状態で使えるのが嬉しい」といったお声をたくさんいただきます。

吉井社長:私たちだけでなく、レースを縫い付けている縫製の方の腕もあってこそだと思います。だからこそ何度洗濯しても綺麗なままなんですよね。
レースの縫製に携わる方にもお話を聞いていただければ、近沢レース店さまのハンカチの稀少性もより伝わるのではないでしょうか。

——本日はありがとうございました。

吉井社長:こちらこそありがとうございました。